交通事故の慰謝料の相場って、いくらくらいなのでしょうか。おそらくそれは交通事故で被害に遭われた方みなさんがそう思っていると思います。
では、その説明の前に「損害賠償の算定基準」についてご説明させていただきたいと思います。
損害賠償額の算定基準は3つある!
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 裁判基準(地裁基準)
このうち、金額が最も低いのは自賠責基準で、最も高いのは裁判基準です。そしてその間を取ったのが任意保険基準ということになります。裁判基準は確かに賠償額が高いのですが、その基準で賠償金を勝ち取るには訴訟を提起しないとまず無理でしょう。
また、弁護士に委任した場合、弁護士費用がかかりますのでそのことも考慮する必要があります。
一般的に言われている「交通事故慰謝料の相場は?」という質問の場合、通常は2の「任意保険基準」のことを指していると思います。
ただ、慰謝料の金額は通院日数・入院日数・後遺障害有無・後遺障害の認定されたなら何級なのか?によってまったく変わってきます。
ちなみに一般的に「慰謝料」と呼ばれているものは「精神的苦痛に対する損害賠償」のことですので、休業損害は含まれませんが中には休業損害も含めて「慰謝料」と言っている方もいますね。でも正しくは「慰謝料」は「精神的苦痛に対する損害賠償」ですので、職業には関係ありません。関係があるのは通院日数・入院日数・後遺障害有無・後遺障害の認定されたなら何級なのか?という点です。
かなりざっくりとしていますが、ムチウチ(頚部捻挫・頚椎捻挫・腰部捻挫・腰椎捻挫)で14級という後遺障害の中でも最も軽い部類に認定されても、総額で200万円以上にはなると思います。これに通院日数が追加となりますので、300万円位が相場といえるかもしれません。
任意保険基準よりも高い賠償額を勝ち取る方法
正直、任意保険会社が提示する金額は非常に少ないです。その金額で一発サインはやめときましょうね。
そして、任意保険基準よりも多い賠償額を勝ち取る方法が「財団法人交通事故紛争処理センター」を利用するというものです。「交通事故紛争処理センター」の基準は裁判基準を採用しているため賠償額は高いにもかかわらず、訴訟を提起せずに裁判よりも早く結論が出るというメリットがあります。
交通事故紛争処理センター利用の流れ
紛争処理センター利用の流れは下記の通りです。
1.電話で申し込みます。日時を決めてもらい、出向いて行って、事故の内容や傷害の程度・損害の内容などを話し、相手の保険会社の呼び出し日を決めてもらいます。
2.和解の斡旋を申し込みますと、担当弁護士が和解の斡旋をし、被害者の言い分を聞き、損害額の案を提示します。その損害額案は裁判の判例に近い金額を提示することが多いようです。
※申込のためには、被害者と保険会社の間で紛争(「これじゃ納得できない!」という状態)が生じていることが必要です。もし保険会社から損害額の計算書が届いていれば、交通事故紛争処理センターに申し込むことができます。
3.和解の斡旋がうまくいかなかった場合には、審査という手続きに移ります。審査は、弁護士や元裁判官、大学教授などの学識者で構成される合議体です。
4.審査結果については保険会社はそれを尊重することになっています。被害者がその審査結果に納得できない場合は通常の裁判によって判決してもらうこともできます。
※交通事故紛争処理センターの利用に関しては、訴えの額による手数料(印紙)がかかりますが、それ以外の費用はかかりません。ただし被害者本人以外で紛争処理センターに出向くことができるのは、家族か委任された弁護士だけです。行政書士は代理人になることはできませんし、同席もできません。
※紛争処理センター所在地は、東京本部・札幌支部・仙台支部・名古屋支部・大阪支部・広島支部・高松支部・福岡支部・さいたま相談室・金沢相談室の10箇所です。