他車運転特約で補償の対象となっているのはどの車なのでしょうか?
この「他車運転特約」は、補償の範囲が非常にわかりにくい特約です。
損保ジャパン日本興亜の自動車保険「SGP」「THEくるまの保険」の約款には次のように記載されています。
借用中の自動車(自家用8車種に限ります。以下同様とします。)を運転中※の事故について、借用中の自動車をご契約の自動車とみなして、ご契約の自動車の契約内容に従い、所定の保険金をお支払いする特約です。
※駐車または停車中を除きます。
(注1)「借用中の自動車」には、記名被保険者、その配偶者またはこれらの方の同居のご親族が所有または主に使用する自動車は含まれません。
(注2)車両事故が補償の対象となる場合は、借用中の自動車の時価額を限度に保険金をお支払いします。
(注3)借用中の自動車の保険に優先してお支払いすることができます。
誰から借りた車だと補償されないのか
誰から借りた車は補償されないのか
借りている車を運転しているときに事故を起こしてしまった場合の補償ということはわかるのですが、知りたいのは「誰から借りた車だと補償されないのか?」ですよね。
(注1)にあるように、「記名被保険者(「主に車を運転する人」として契約上明記した人)とその配偶者、それらの同居の親族が所有したり、主に使用する車が対象外」ということになります。
・・・ということは、別居の親族であれば補償されるということになります。
そして、この場合の「同居」か「別居」かは、通常、自動車保険の世界では住民票上ではなく、あくまでも実態上で判断します。
例を挙げてみます。
Aさんには大学生の娘(B子さん)がいます。B子さんは大学の近くでマンションを借りて一人暮らしをしています。
B子さんは、親が契約者となり、自分が記名被保険者(車を主に運転する人)として軽自動車を所有し運転しています。保険契約上も、親とは別居として別の住所を登録しています。
夏休みに、実家に飛行機で帰省したときに、お母さんの車を借りて運転しているときに事故を起こしてしまいました。お母さんの保険は、記名被保険者がお母さんです。そして運転者限定は「本人配偶者限定」。つまり、お父さんとお母さんしか補償されません。
そこで、自分が加入している自動車保険のことを思い出しました。
「他車運転特約が使えるかも!」
さて、このケースではB子さんは、他車運転特約を使って補償されるでしょうか。
正解は・・・
補償されます。
理由は、上記の囲みの中にある文言です。
間違えないようにしたいのは、別居の娘であるB子さん自身を記名被保険者とする自動車保険に加入しているから補償されるのであって、これがもし、B子さんのお母さんを記名被保険者としたまま、別居のB子さんが自分の車に乗っていた場合は補償されません。
なぜなら、
(注1)にある「借用中の自動車」には、記名被保険者、その配偶者またはこれらの方の同居のご親族が所有または主に使用する自動車は含まれません」に該当するからです。
実態上、B子さんがいつも乗っていたとはいえ、契約上「記名被保険者」がお母さんになっていて、そのお母さんの車をB子さんが借りて乗っていた場合は補償対象外となってしまいます。
車検中に工場から借りていた代車は補償されるのか?
これは、車種などが「他車運転特約」で補償対象とされているものであれば、基本的には補償されます。
日新火災の自動車保険「ユーサイド」の約款にはこう書かれています。
他の自動車に該当し、かつ、被保険自動車が整備、修理、点検等のために整備工場等の管理下にあって使用できない間に、その代替自動車として、記名被保険者が臨時に借用して使用または管理する自動車をいいます。ただし、被保険自動車の所有者(注1)または記名被保険者の使用人が所有する自動車(注2)を除きます。
時々、「期間はどれくらいまでなら補償されるのか?」と聞かれることがあります。
期間は「1年未満」です。同じ日新火災のユーサイドの約款は上記に続けてこう書いてありました。
ただし、被保険自動車の所有者(注1)または記名被保険者の使用人が所有する自動車(注2)を除きます。
(注1)次のいずれかに該当する者をいいます。
① 被保険自動車が所有権留保条項付売買契約により売買されている場合は、その買主
② 被保険自動車が1年以上を期間とする貸借契約により貸借されている場合は、その借主
③ ①および②以外の場合は、被保険自動車を所有する者
実際には、車検や修理のために1年以上も工場から車を借りて乗るということは考えられないので、その点はそんなに心配する必要はないかと思います。
※実際にこの特約を利用される場合は、あらかじめご自身が加入している保険約款をご確認のうえ、自己責任でお願いします。