公的手続き

【実録】戸籍を集めていたら「就籍の届出」や「樺太」が出てきた!?

2021年7月13日

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こちらの記事では、母が亡くなったことで実際に私が行った手続きについて解説しました。

今回の記事では、母の戸籍を集めていたときに出てきた、あまり見慣れない「就籍の届出」や「樺太」について解説してみたいと思います。

人が亡くなると、相続の手続きが始まります。

人が亡くなると、つまり相続が発生すると相続人を確定するために亡くなった方の戸籍謄本等を集めなければなりません。どこまで集めるのかと言いますと、亡くなった方が生まれたところまでです。つまり出生まで遡らなければなりません。

戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍(「かいせいはらこせき」または「かいせいげんこせき」)はその当時本籍があった市町村でしか発行してもらえません(2024年3月1 日より「戸籍謄本等の広域交付制度」が施行され、本籍地以外の役所でも戸籍謄本を取得できるようになりました。これにより必要な戸籍の本籍地が全国各地に分かれている場合でも1か所の市区町村窓口でまとめて請求できます。ただし、本人、配偶者、直系尊属、直系卑属に限ります。直系尊属とは直系の父母や祖父母、直系卑属とは子や孫のことです)。

一番最初に取得する戸籍は、亡くなったときに住んでいた市町村で取得します。役所の窓口では「相続の手続きで使いますので、ここで出せる戸籍を全部出してください」と言えばわかります。

その戸籍には「死亡」の文言が記載されているはずです。もし亡くなった方(被相続人)がそれ以前に別の町に本籍を置いていたことがあった場合、そのことも戸籍には記載されていますので、その一つ前の市町村に郵便で請求をします。

もし戸籍を見ても「さっぱりわからない!」という自信がある方(笑)は、戸籍謄本を取得した際に、窓口の方に「この一つ前はどこの町になるかわかりますか?」と尋ねてみてください。おそらく教えてくれると思います。そのときに役所の方がどこを見てそのように判断したのか尋ねてみるとよいでしょう。

その戸籍に記載されている市町村が遠方のために直接、その市町村の役所に行くことができない場合には郵送で取り寄せることになります。郵送での取り寄せ方については別の記事で解説します。

戸籍には、見慣れない文言「就籍の届出」の記載があった

そんなふうにして母の戸籍を集めていた、まもなく出生の記載のある戸籍だ!という一つか二つ手前の戸籍に、見慣れない文言が記載されていました。それが、これです。

戸籍 就籍の届出

就籍の届出により~本戸籍編製」と記載されています。

これは一体どういうことだ!?と思い、調べてみました。そしてわかったことは、母が生まれたあと、戸籍の「戸主」が樺太(今のサハリン)に行ったために同じ戸籍に入っていた全員が樺太(サハリン)の行ったことになっているということです。

母からは樺太で育った話は一度も聞いたことがなかったので不思議に思っていましたが、戸籍上は樺太に行ったことになっていたということなんですね。

で、一度樺太に行くと、そこは日本ではないので戸籍の制度がありません。そのために再び日本に帰ってきたときには戸籍が無い状態になっている。なので、「就籍の届出」という手続きをすることで戸籍を新たに作った、ということのようです(ざっくりとした説明ですが)。

樺太にいる間の戸籍はないのか?

では、樺太にいる間の戸籍については証明が出ないのか?

ありません。ただ、法務省のウェブサイトにはこんな記載があります。

旧樺太の戸籍に関する証明

外務省では、以下の旧樺太6村において用いられていた戸籍簿及び除籍簿の原本を保管しております。これらの戸籍簿等の原本は終戦時に現地から持帰られ、その後に樺太庁残務整理事務所やその業務を継承した外務省外地整理室に持込まれたものであり、戸籍法上の戸籍簿ではなく、行政文書のひとつとして外務省において事実上保管されているものです。これらの樺太戸籍簿等については、便宜的に簡易な手続を設けてその開示申請を受付ていますが、これは樺太に関する戸籍事務を行っているわけではなく、保管する行政文書を求めに応じて開示するものです。

「以下の旧樺太6村」というのは下記の通りです。

  • 大泊郡知床村 戸籍簿 15冊 除籍簿 3冊
  • 大泊郡富内村 戸籍簿 1冊
  • 大泊郡遠淵村 戸籍簿 4冊
  • 敷香郡内路村 戸籍簿 9冊
  • 敷香郡散江村 戸籍簿 4冊
  • 元泊郡元泊村 戸籍簿 8冊

上記の6つの村に戸籍があった人については当時の外務省において記録がある(かもしれない)。あれば証明はできるというものです。逆に言うと、その6つの村ではないところに住んでいた人に関しては、証明できるものは何もないということなんですね。

そして母に関しては、この6つの村ではないところに本籍が移転していたことが別の戸籍簿から分かりましたので、残念ながら樺太時代の戸籍については証明できるものはありませんでした。

その樺太に本籍があった「空白の数年間」を除けば、母の戸籍は無事に出生までたどることができました。

まとめ

実際の相続の手続きにおいては、樺太の戸籍があることになっており証明ができない期間に関しては、遺産分割協議書等に「その間は戸籍が存在しないため証明ができないが、母の相続人は相続関係説明図にある者で全員である」旨を記載して関係機関に提出して特にもめることもなく手続きは完了しました。

相続手続きのために自分で戸籍を集めてみたものの、あまりよくわからない、これ以上は自分では無理だと感じた場合、途中からでも構いませんので行政書士に相談されてみてはいかがでしょうか。

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