先日、コロナ患者である妊婦さんが受け入れ先がないために自宅で出産し、男児が亡くなるという痛ましいニュースがあり、私も心を痛めていました。
それだけコロナに対する医療はすでに崩壊しているということです。
では、自宅療養している妊婦が保健所などへ連絡する目安というものはあるのでしょうか?
日本産科婦人科学会等では次のような症状になった場合はすぐに保健所などへ連絡するようにと注意喚起しています。
自宅療養する妊婦が保健所などへ連絡する目安
下記の状態になったときは、保健所またはかかりつけ医(産婦人科)に連絡をしてください。

出典:日本参加婦人科学会
- 1時間に2回以上の息苦しさを感じる時
- トイレに行くときなどに息苦しさを感じるようになった時
- 心拍数が1分間に110回以上、もしくは呼吸数が1分間に20回以上
- 安静にしていても酸素飽和度が93-94%から1時間以内に回復しない時
(妊娠中は赤ちゃんのために95%以上の酸素飽和度が必要です)
自宅療養する妊婦がすぐに救急車を要請しなければならない状態
上の画像にある通り、
- 息苦しくなり、短い文章の発生も出来なくなった時
- 酸素飽和度(SpO2)が92%以下になった時(←妊婦にとってはかなり危ない状態)
この状態の時はすぐにでも救急車を呼んでください。
※詳細は日本産科婦人科学会ウェブサイトに記載されています(左記リンクをクリック・タップでPDFファイルが開きます)。
救急車が来ても受け入れ先の病院が見つからない場合
特に「自宅療養する妊婦がすぐに救急車を要請しなければならない状態」に関しては、その状態になってから救急車を呼んでも、東京都などすでに医療が逼迫(ひっぱく)している場合には、受け入れ先の病院が見つからないというケースも今後多くなると思います。
実際、冒頭の妊婦さんも場合もまさにそういうケースでした。
場合によっては他県の病院で受け入れてくれるという場合もあるようですが、東京近郊では東京からの患者流入を断っているところもあると聞いています。
そのような状態がすでに起きていることを念頭に置いて早めに保健所・かかりつけ医・救急等に連絡をする必要があると言えます。
母親から胎児にウイルスは感染するのか?
妊婦さんがコロナに感染すると心配なのが、やはりおなかの赤ちゃんですよね。赤ちゃんは大丈夫なのか不安になると思います。
医師によりますと、母親から胎児にウイルスが感染するのはまれとのことです。むしろ、一番のリスクは「母体の重症化」だそうです。
そして母体が重症化することで赤ちゃんの健康に影響が出る可能性が十分にあります。お母さんの吸った酸素が胎児に行くわけですから、お母さんが酸素が十分にいかない場合(酸素飽和度が低い場合)、胎児にも酸素は行き渡っていないということ。
母体の重症化を防ぐにはどうしたらよいのか?
厚生労働省ではこの点について、こうコメントしています。
- 基本的には診ている医師と相談してワクチン接種の判断をしてほしい(田村厚生労働大臣)
- 日本で承認されている新型コロナワクチンが妊娠 胎児 母乳に悪影響を及ぼすという報告はない。
日本産科婦人科学会では下記の声明を出しています。
- 妊婦は時期を問わずワクチン接種を勧める。副反応は一般の人と差はない。
- 妊婦だけではなく、感染経路の8割を占める夫やパートナーに対してもワクチン接種を勧める。
としています(日本産科婦人科学会ウェブサイト)。