2026年箱根駅伝の展望｜史上稀に見る「三強」の激突
2026年1月2日・3日に開催される第102回箱根駅伝は、近年の大学駅伝史においても特筆すべき大会になると予想されています。その最大の理由が、明確な「三強構図」が成立している点です。
出雲駅伝・全日本大学駅伝を制し、年度三冠に王手をかけた國學院大學。
それに立ちはだかるのが、箱根駅伝の勝ち方を最も熟知している青山学院大学、
そして王座奪還を狙う駒澤大学です。
いずれの大学も優勝候補にふさわしい戦力を備えており、「どこが勝ってもおかしくない」という表現がこれほど当てはまる大会は珍しいと言えるでしょう。まさに2026年箱根駅伝は、大学長距離界の総決算とも言える一戦です。
【注目校別】エントリー選手とエースの強みを徹底分析
國學院大學｜歴史的「年度三冠」へ王手
今シーズンの主役は、疑いようもなく國學院大學です。出雲・全日本を制した勢いは本物で、単なる一過性の好調ではなく、チーム全体の完成度が極めて高いことが特徴です。
特に注目すべきは、エース級の突出した力に加え、中間層から控え選手まで安定した走力を備えている点です。どの区間に誰を配置しても大崩れしにくく、箱根駅伝において最も重要な「計算できる強さ」を持っています。
注目選手：平林 清澄（4年）
平林清澄は、日本学生長距離界を代表するランナーの一人です。5000m・10000mの実績に裏打ちされたスタミナと、勝負どころで一気に流れを引き寄せるスパート力は、まさにエースの資質そのもの。
箱根駅伝では、単に速いだけでなく「流れを変える存在」が求められますが、平林はその条件を完璧に満たしています。9区・10区といった終盤区間での起用となれば、他校に与える精神的プレッシャーは計り知れません。
エントリー選手（抜粋）
平林清澄／上原琉翔／高山豪起／野中恒亨／嘉数純平 ほか
青山学院大学｜「箱根の勝ち方」を知り尽くす王者
青山学院大学は、箱根駅伝という大会において最も安定感のある大学です。原晋監督のもとで培われた区間配置・当日調整・メンタルコントロールは、もはや一つの完成形と言っても過言ではありません。
記録上では他校に見劣りする選手がいたとしても、本番では確実に結果を出してくる。それが青学最大の強みであり、「駅伝は総合力の競技」であることを体現する存在です。
注目選手：太田 蒼生（4年）
太田蒼生は、いわゆる「駅伝男」と呼ばれる選手です。記録会以上に大舞台で真価を発揮し、並走状態から必ず前に出る勝負強さを持っています。
箱根特有のアップダウンやプレッシャーにも動じず、山上り・山下りの両方に対応可能な万能型。重要区間での投入が濃厚で、チームの流れを安定させる役割を担うでしょう。
エントリー選手（抜粋）
太田蒼生／黒田朝日／若林宏樹／佐藤一世／折田壮太 ほか
駒澤大学｜世界基準のスピードで王座奪還を狙う
藤田敦史監督体制2年目を迎える駒澤大学は、スピード駅伝という観点では依然として国内トップクラスの戦力を誇ります。
近年は箱根で結果を残せていないものの、地力は十分。前半区間で主導権を握る展開に持ち込めれば、一気に優勝争いの中心に躍り出る可能性を秘めています。
注目選手：佐藤 圭汰（3年）
佐藤圭汰の最大の武器は、序盤からレースを破壊できる圧倒的スピードです。ハイペースでも余裕を持って対応できる走りは、世界基準と評されるにふさわしいものがあります。
2区・4区といったエース区間での起用が有力視されており、他校エースとの真っ向勝負は2026年箱根駅伝最大の見どころの一つです。
エントリー選手（抜粋）
佐藤圭汰／篠原倖太朗／伊藤蒼唯／山川拓馬／桑田駿介 ほか
シード権争いの行方｜予選会突破組の注目大学
優勝争いと同じくらい注目されるのが、10位以内に与えられるシード権争いです。シードを獲得できるかどうかで、翌年の準備環境やチーム作りに大きな差が生まれます。
予選会を安定した走りで突破した立教大学、伝統校の中央大学、復調傾向にある順天堂大学などが、どこまで上位に食い込めるかが焦点となります。
特に9区・10区では、選手の経験値やメンタルの強さが順位を大きく左右するため、最後まで結果が読めない混戦になる可能性が高いでしょう。
【マニア向け】当日エントリー変更で勝負の行方を読む
箱根駅伝ファンにとって最大の緊張ポイントが、大会当日午前7時に発表される最終エントリーです。
箱根駅伝では、エース級の選手をあえて補欠登録し、当日の体調や天候、他校の配置を見て他校の動きを見極めたうえで投入する「当て馬」と呼ばれる戦略が存在します。これは箱根駅伝特有の高度な駆け引きであり、経験豊富な指導陣を持つ大学ほど巧みに活用します。
単純に「誰が走るか」だけでなく、「なぜその選手がその区間なのか」を考えながら見ることで、箱根駅伝は一気に戦略的なスポーツとして楽しめるようになります。
当日エントリー変更のチェックポイント
- 補欠登録にエース級の名前が残っているか
- 山上り・山下り要員が直前まで温存されているか
- 前半区間に想定外の選手配置が行われていないか
例えば、補欠にエースが残っている場合、その大学は「勝負区間を後半に設定している」可能性が高く、逆に前半区間にエースを投入してきた場合は、序盤から主導権を握りに来ているサインと読むことができます。
こうした視点を持つことで、テレビ中継や速報アプリを見る時間が何倍も楽しくなるでしょう。
区間別に見る勝敗のカギ｜2026年大会の重要ポイント
2026年箱根駅伝は、全10区間の中でも特に「流れを決定づける区間」がはっきりしています。
2区｜エースが激突する花の区間
総距離23.1kmを誇る2区は、依然として最大の注目区間です。駒澤大学の佐藤圭汰、青山学院大学のエース級選手、國學院大學の主力が投入される可能性が高く、序盤から大きなタイム差が生まれることも考えられます。
ここで無理をしすぎると後半に響く一方、消極的になれば優勝争いから脱落しかねない、まさにハイリスク・ハイリターンの区間です。
5区・6区｜山が流れを変える
箱根駅伝最大の特徴である山上り（5区）と山下り（6区）は、例年通り勝敗を左右する重要区間です。特に5区は適性の差が大きく、エース級であっても苦戦するケースが少なくありません。
山に強い選手を擁する大学が、ここで一気に順位を上げる可能性があり、三強の中でも山の布陣が最も安定している大学が有利になるでしょう。
9区・10区｜意地と総合力の勝負
大会終盤の9区・10区は、単なる走力だけでなく、精神力とチーム力が試されます。ここまで積み重ねてきた流れを守り切るのか、それとも最後の逆転を狙うのか。
特に10区では、監督の采配と選手の覚悟が結果に直結します。ゴールテープを切る瞬間まで、順位が確定しない展開になる可能性も十分にあります。
2026年箱根駅伝は「記憶に残る大会」になる
國學院大學の年度三冠達成なるか、青山学院大学の王者としての連覇か、それとも駒澤大学の完全復活か。
2026年箱根駅伝は、単なる優勝争いにとどまらず、世代交代・戦略・大学駅伝の進化が凝縮された大会になるでしょう。
選手たちが積み上げてきた4年間の努力、監督の戦略、そして一本のタスキに込められた思い。そのすべてが交錯する箱根路を、ぜひリアルタイムで見届けてください。
この記事が、2026年箱根駅伝をより深く、より面白く楽しむための一助となれば幸いです。