認知症対応個人賠償責任保険

個人賠償責任特約、あるいは個人賠償責任保険とは、次のようなケースで使える保険です。

日本国内、国外を問わず、記名被保険者、その配偶者またはこれらの方の同居のご親族・別居の未婚のお子さまが日常生活における偶然な事故(自動車事故を除きます。)により、他人にケガなどをさせたり、他人の財物を壊したりした場合に、法律上の損害賠償責任の額について、保険金をお支払いする特約です。





この保険は、「法律上の責任を負った場合」というのがポイントです。これは、自動車保険などの賠償責任保険でも同じことです。あくまでも「法律上の損害賠償責任を負った場合」です。自分の責任分のみを支払えばよいというのが民法の原則です。

ところが高齢化社会の昨今、これだけでは対応しきれない事故が増えています。

それは認知症のお年寄りが起こす事故

たとえば、昨年(平成28年)10月に87歳の高齢ドライバーが運転する軽トラックが登校中の児童の列に突っ込み、小学生の男児が死亡するという事故がありました。

調べてみると、高齢者の中で認知症の症状が出ているにもかかわらず本人も気付いていないため、ふつうに運転し続けているという高齢ドライバーが意外と多いらしいのです。

この記事で取り上げる「個人賠償責任保険」は車の事故ではなく、(自動車事故を除く)日常生活での賠償責任についての保険です。

たとえば、こちらの事故→ http://toyokeizai.net/articles/-/107658

一部を引用しますと、

これは、2007(平成19)年12月7日、東海道本線共和駅で発生した鉄道事故の裁判である。認知症患者A氏(要介護4、認知症高齢者自立度Ⅳ)が線路に立入り走行してきた列車にはねられたことにより、JR東海がA氏の遺族に対して、振替輸送費等の損害賠償を請求する訴訟を提起していた。

ー東洋経済オンラインより

というもの。

最高裁の判決は、認知症の家族に「責任無し」というものでした。

とはいえ、最高裁までいってのその判決ですから、ご家族のストレスも相当なものだったはずです。もし、それがJRなどという大企業に対するものではなく、一個人を死なせてしまったというようなものであるなら、遺族の心情を考えるといくら「責任なし」と言われても、それはそれで遺族側が納得できません。少なくとも自分が遺族の立場であるなら。

そこで、登場したのが損保ジャパン日本興亜の個人賠償責任特約。そのように、責任能力のない認知症患者などが事故の加害者になってしまったとき、法律上の責任がないケースでも監督責任者の責任として賠償できるようにしたものです。

この、損保ジャパン日本興亜の個人賠償特約と似た個人賠償で、損保ジャパン日本興亜社のものより、補償範囲が限定されるタイプのものが、ライバル・三井住友海上社からも発売されました。まったく同時期の平成29年1月1日発売です。

気になるその補償内容は、こういうものです(三井住友海上社ウェブサイトより引用)

従来特約は、自転車事故や住宅での階下への漏水事故など、偶然な事故で他人にケガをさせたり、他人の財物に損害を与え、法律上の賠償責任を負った場合の損害賠償金や訴訟費用等を補償する保険です。

新特約では、従来特約の補償内容に加えて、誤って線路に立ち入るなどして電車を止めてしまった場合に生じる賠償責任(鉄道会社から請求される振替輸送費用 など)を補償します。

3メガ損保の一つ、東京海上日動社でも平成28年10月に、同様の補償に改定済みのようです。