人身傷害保険がデビューしてから20年ほど経ちました。

人身傷害補償というのは「過失割合に関係なく、自分のケガや死亡後遺障害を補償する」というものです。では、仮に過失割合が自分20:相手80という過失割合だった場合にはどのように支払われるのでしょうか? さきほどの補償内容の説明からすると、相手過失分80%を相手に請求するのではなく、自分が加入している保険会社から自分の過失分20%も合わせて全損害額を受け取る、ということになります。

しかし実務上は、過失の重い相手からの賠償を受け、その賠償額が少ない場合に、自分の入っている人身傷害から補填するという使い方になることが多いはずです。しかし、その使い方の場合、実態上は人身傷害から補償されることも少ないことが多いのです。なぜなら、普通は人身傷害補償よりも対人賠償のほうが金額が多いからです。

しかし万が一、相手が賠償することができない状態だった場合(たとえば、相手が任意保険に入っていなかった場合など)はどうなのでしょうか? その場合は人身傷害保険が大抵の場合は有効です。実際、保険会社は「人身傷害が使えますから安心ですよ」というに違いありません。小さなケガなどの場合はそれでもよいと思います。

では、人身傷害特約を「使ってはイケないとき」とはいつなのでしょうか? それは、加害者がいて「死亡や後遺障害を負うような大きな損害を負ったとき」です。そのようなときは、できれば人身傷害は使わないで加害者側である相手方(または相手の保険会社)に請求をします。死亡に関する賠償も後遺障害に関する賠償も、まずは加害者側に! これは大事な点です。

それはなぜなのでしょうか? なぜなら、基本的に「人身傷害の補償額よりも相手方からの賠償額のほうが大きい」からです。大きな損害が出た場合は、まず相手からの賠償請求を。これは覚えておきましょう。では、人身傷害は不要なのか? 決してそうではありません。繰り返しになりますが、人身傷害は、万が一相手が任意保険に入っていなかったり、任意保険を使えないという場合、自分が入っている保険(人身傷害)から補償を受け取れるからです。

事故の程度や損害の程度により、実際にはどうするのが最善なのかについては専門家に確認してみましょう。